- シンタクラースってなに?
- どんな風にお祝いするの?
11月中旬頃から12月5日まではシンタクラースのお祝いで、オランダの子供たちはソワソワ、ドキドキ。
それもそのはず、シンタクラースはサンタクロースの前身であり、間違いなく、オランダの大きなお祭りのひとつです。
そこで、オランダに住んでいるからこそ知って楽しみたい、シンタクラースのお祝いについて解説します。
シンタクラース(聖ニコラス)の誕生日
12月5日はシンタクラースの誕生日。
毎年11月中ごろ(11月11日の後の最初の土曜日)に、スペインから蒸気船に乗って、オランダにやってきます。
シンタクラースは、従者のZwarte Pietたちを連れて、白い馬に乗り、毎年オランダの異なる街に到着します。
そして、パレードをひらきます。
その様子が「Sinterklaas Journal」(シンタクラースニュース)として国営放送(NPO Zappelin)で放送されます。
シンタクラースの訪れは、ホリデーシーズンの訪れを伝える風物詩とも言えます。
2023年も11月13日からスタートです
シンタクラースって誰?
シンタクラース(Sinterklaas)は、聖ニコラス(Sint -Nicolaas)ともいい、伝説的、神話的な存在です。
歴史を経るごとに少しづつ変容し、中世15世紀ごろに今のシンタクラースをお祝いする原形に近づいてきました。
Juf Roosは、Roos先生という意味で、子供たちに人気の歌番組です。
その先生のところに、シンタクラースが来てくれました。
シンタクラースってどんなイメージ?
シンタークラースの伝統的なイメージは、白い服を着て赤いマントをまとった司教です。
長く白いカーリーヘアに、赤と金のミトラをかぶっているのも特徴です。
そして、白い手袋をしています。
片手には金の杖を持ち、もう片方の手には子供たちの名前が書かれた本を持っています。
北アメリカで生まれたサンタクロースのように、長く白いあごひげを生やしています。
けれど、太っていて陽気なイメージのサンタクロースとは違い、シンタクラースは厳格でエレガントな雰囲気です。
ズワルテ・ピートって誰?
シンタクラースの仲間であり従者であるズワルテ・ピート(Zwarte Piet、直訳では「黒いピート」)は、長い間論争の的となってきました。
というのも、ピートはたいてい顔を真っ黒に、唇を真っ赤に塗って登場するからです。
それがアフリカ人の容貌を揶揄しているのではないかというわけです。
それが人種差別なのかオランダの伝統なのかについて、オランダ国内だけでなく、国際的にもズワルテ・ピートの議論が繰り返されています。
その結果、数年前に、Facebook社(現在のMeta社)は、顔を真っ黒に塗ったピートの写真の掲載を規制することを発表しました。
ズワルテ・ピートはキリスト教に出てくる悪や闇の思想の中世期の象徴だったと言う人もいます。
そのため、顔が黒いのだという人もいますし、ズワルテ・ピートが聖ニコラスのムーア人のしもべだった可能性が高いと信じている人もいます。
いずれにせよ、オランダの伝統とともに育った人々は、ピートの容貌は人種差別的なものではなく、煙突から家に入る際のすすによるものだと主張しています。
ズワルテ・ピートのイメージ
ズワルテ・ピートは、膨らんだパンタロンとルネッサンス期を象徴するフリルのついたカラフルな衣装を着ています。
そして、金のイヤリングと羽のついた帽子をかぶり、さまざまな仕事をこなしてシンタクラースを手助けしています。
例えば、煙突からプレゼントを届けたり、シンタクラースの名前の本にいたずら好きな子供やいい子の名前をメモしています。
シンタクラースのお祝いの仕方
12月5日の夜、子供たちはシンタクラースが玄関をノックするのをドキドキしながら待っています。
玄関をノックされても、誰かが応答するころにはその姿はすでになく、プレゼントでいっぱいの袋が置いてあるんです。
その中には、子供だけではなく、家族全員宛のプレゼントが入っていて、みんなで開けるのがその夜のお楽しみ。
そのため、「Sinterklaasavond」シンタクラースの夜、と呼びます。
しかも、それぞれの名前のついたプレゼントには、ユーモアにあふれる詩がついているとか。
それは、こっそりみんなのことを見ているピートやシンタクラースが、その人の普段の行いをからかうような詩だったりして。
みんなで詩を読み、和気藹々と楽しむのだそうです。
シンタクラースの歌と食べ物
シンタクラースをお祝いする歌が実にたくさんあります。
どれも、前述したようなシンタクラースの伝説とお祝いに基づいた歌詞です。
誕生日の夜には、家族でそれらの歌を歌いつつ、マジパン、イニシャルチョコレート、ペパーノテン(ジンジャービスケット)、ホイップクリームののったホットチョコレート(Chocomel)などの甘いものを楽しみます。
シンタクラースのコスチューム
11月に入ると、ピートのコスチュームを着た子供たちがチラホラ出てきます。
ピートだけでなく、シンタクラースになれる赤いマントと杖や、白い馬のぬいぐるみなど、シンタクラースを盛り上げるためのグッズがたくさん店頭に並びます。
ちなみに、シンタクラースの白い馬は、「Ozosnel」と言います。
直訳すると、「まあなんて速い」という、シャレの効いた名前になっています。
シンタクラースとのさよなら
そんな宴の翌日、12月6日にシンタクラースは帰路へ着きます。(ベルギーでは12月6日にお祝いするところもあるようです。)
帰る時には、何事もなかったかのようにひっそりと帰宅なさいます。
オランダのクリスマス
一方、サンタクロースの来る12月24、25日は、というと?
シンタクラースのお祝いが終わると、クリスマスツリーを飾って1月7日頃まで楽しみます。
オランダではクリスマスイブのお祝いがなく、25日をクリスマス第一夜、26日を第二夜としています。
家族が集まって、食事をするのが通例です。
カトリック系の学校は別として、特に宗教色の強い日にもなりません。
スーパーを含め、お店が閉まっていることが多い印象で、みんな食料などを買い込んでゆったりと過ごします。
まとめ
シンタクラースのお祝いについて、まとめてみました。
幼稚園、保育園、小学校では必ずお祝いします。
12月5日にシンタクラースとピートが遊びにくるはずですよ。
このお祝いを楽しみたい方は、郷に入れば郷に従えの精神でぜひ楽しんでください。